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2004年5月上号
Vol.19  歯周病
小野 兼義 先生

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小野歯科クリニック
新潟市万代1-4-33 損保ジャパン・アクサ新潟ビル3F
院長 小野 兼義
■プロフィール
1957年生まれ 新潟市出身
1976年 新潟高校卒業(84回)
1983年 日本歯科大学新潟歯学部卒業(72回)
1987年 日本歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了
      学位取得 歯学博士
      日本歯科大学新潟歯学部助手
1988年 日本歯科大学新潟歯学部講師
      新潟市万代に小野歯科クリニック開設
      日本歯科大学新潟歯学部非常勤講師
1993年 医療法人 社団 小野歯科クリニック開設
■所属学会等
日本歯周病学会 日本補綴歯科学会
日本口腔外科学会 日本顎関節学会
日本顎口腔機能学会 日本矯正歯科学会
日本小児歯科学会 日本審美歯科学会
Academy of Osseointegration
I.A.D.R.,J.A.D.R.
オッセオ・インテグレーテッド・インプラント認定医
ブローネマルク・インプラント公認インストラクター   他
   

歯周病とは
 
梗塞、心筋梗塞といった生命を直接脅かす可能性のある疾患の患部に歯周病の原因である細菌が存在することがわかり、これらの疾患と歯周病の関連性があるといわれるようになってきています。また、妊婦さんの早産の原因にも歯周病が挙げられるようになってきています。このように歯周病は、全身の疾患と密接な関連性があります。
歯周病とは歯ぐきの付着の位置が下方に下がっている状態、つまりアタッチメント・ロスを起こしている状態のことを言い、驚くことに高校生で30%、20歳台40%、40歳台で90%以上の方が罹患している感染性の疾患です。つまり、誰もが関係のある疾患であるといえます。歯周病が進行するにつれ、お口の中が粘つくような感じがしたり、口臭が気になったり、歯ぐきが赤く腫れたり、痛みが出たり、歯にぐらつきが出たり、歯に隙間ができたり、歯が前に出てきたり、しまいに歯が抜け落ちてしまうことになります。実際にはこのような急性症状に気づかないで慢性的に進行することが多く、患者さんが気づかないうちに手遅れになってしまうことが多いです。いったん急性症状、腫れ・痛み等が出ても、慢性化することによりある程度我慢できることになり、これを繰り返しながら末期的な状態になり抜歯をしなくてはならない状態になります。
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原因
 
 
周病の原因は、お口の中で繁殖する細菌です。細菌の発生する分解物質は口臭の原因となります。細菌感染により歯ぐきの腫れが起こり、これらの細菌を駆逐するために集まってくる私たちの免疫細胞、活性化された破骨細胞が歯槽骨を破壊してしまいます。
また咬み合わせが悪かったり、歯ぎしり、食いしばりがあったりして歯に異常な力がかかると、歯槽骨の吸収がさらに進行します。近年、喫煙が歯周病を加速する因子として重要視されてきております。
図1→図2→図3→図4
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治療方法
 
  
ず実際の歯周病の治療を開始する前にお口の中の状態を診査させていただきます。
視診・触診で歯ぐきの状態を、X線診により歯を支えている歯槽骨の状態の診査をします。
以上の診査より、歯周病の歯周病の進行状態を初期・中等度・高度・末期的なものにわけ、さらに歯周組織検査を行います。歯周組織検査は、基本検査と精密検査という2種類の方法に分けて行い、歯周ポケット測定検査、歯の動揺度の測定、コンタクト・テスト、プラークの付着状況の検査(プラーク・コントロール・レコード)などを行います。
基本検査は主に初期、中程度の歯周病の病態を把握するために行い、精密検査は主に歯周外科手術が必要な高度な歯周病の病態を把握するために行います。
まず、治療に先立ち一般的なモチベーションから行います。
患者さんのお口の中から実際に歯垢を採取し位相差顕微鏡でご覧いただくことによりプラークは細菌の集合体そのものであることを認識していただき、歯磨きにより、プラークを除去することの重要性をご理解いただきます。また、歯周組織検査時にお口の中の写真を撮らせていただき、処置の進行に伴い歯周病がどのように治癒してきているのか比較できるようにします。実際の治療に先立ち、歯垢を除去するために歯磨きの指導を行います。
主に歯科衛生士によりプラーク・コントロール・レコードのデータを参考に患者さん個別に歯磨きの良いところを伸ばし、今までお気づきになっておられなかったところを補強いたします。
図5→図6歯の清掃の基本は歯ブラシによる歯磨きということ になります。
補助的清掃方法として歯間部の汚れを落とすために デンタル・フロス、歯間ブラシの指導をいたします。
デンタル・フロスは初期、中等度の歯周病の方に、歯間ブラシは中等度、高度の歯周病の方に主にお勧めさせていただいております。
近年、電動歯ブラシの中でも音波領域で振動し、プラークの除去効率がいいものがありますので、そのようなものをお使いになられることもお勧めできます。また、ウォーター・ピックという歯周ポ ケットの内部まで洗浄する器具もお勧めいたします。通常水、もしくはぬるま湯で洗浄しますが、その中に殺菌作用のある洗口薬を入れるとさらに効果的です。お休み前の歯ブラシのあとに ウォーター・ピックと洗口薬を使用されると、夜間の細菌の繁殖を効果的に抑制することができます。ウォーター・ピックをお持ちでない場合でも、強い洗口で効果を発揮させることができます。お勧めさせていただきたい洗口剤は、グルコン酸クロルヘキシジン含有の洗口剤です。低濃度で使用するように指導させていただいております。
それでは実際の治療方法につきまして、実際の病態に即してご説明させていただきます。
歯周病初期の方には、主に歯石の除去を行います。歯周病中等度の方には、さらに歯ぐきの奥に潜んでいる歯石を除去し、歯根の表面を滑沢にします。高度の歯周病の方には、歯ぐきの手術(フラップ手術)が必要になります。歯周ポケットの深さが5mm以上に進行している状態では、歯石の除去だけでは病態の進行を止めることは困難となります。さらに疾患が進んで末期的になっている状態におきましては、残念ながら抜歯が必要になってきます。このように歯周病が高度、末期的に進行された患者さんに関しては、歯ぐきの基本的な処置、手術、抜歯のみならず、咬み合わせを調整し、再構築する処置も重要となってきます。なくなった歯の処置に関しては、入れ歯、ブリッジのほかに、近年ではインプラントによる処置も推奨することができます。
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予防方法
 
  
防方法は、歯垢(プラーク)の除去ということになります。皆さんそれなりに歯磨きはしていらっしゃると思いますが、ポイントがつかめていない方が非常に多いと思います。歯科医院で実際のプラークの付着部位・付着率を測定していただき、個別の歯磨きの指導を受けられることをお勧めします。
初診来院される患者さんの平均的な方では、プラーク・コントロール・レコード(PCR)が50%〜80%くらいの方が多いようです。私共ではプラーク・コントロール・レコード(PCR)を10%台の前半、あるいは数%程度のところまで下げることを目標としています。プラークが減少すると口臭も減少します。
また、舌苔といって舌(した)の上に白くもやもやしたものが発生しますが、これもプラークと同じ細菌ですので柔らかめの歯ブラシ、もしくは濡らしたガーゼなどで拭き取ってください。
また、喫煙は歯周病を加速する因子で、口腔内の癌などの原因因子です。全身的にも肺癌、高血圧、そして美容の大敵であるお顔のしわなどの原因にもなります。健康を維持するために禁煙をお勧めいたします。禁煙パッチを用いて、つらくなく禁煙をする方法も非常に有効です。
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患者さんへのメッセージ
 
  
歯しなくてはならない末期的なケースを除けば、歯周病は治すことができます。
適切な診査・診断に基づき、歯科医師、歯科衛生士、そして患者さんが共同して治療を進めていくことにより、歯周病の進行を止めることができます。また、早期発見、早期治療、また予防することが重要です。20歳代の方で高度に進行されている方は少ないと思います。ご家庭で、職場で活躍されている20歳代後半から30歳代の方で、急性症状があまり表に出ないで歯周病は進行します。40歳代以降で大きな問題が出てくるケースが多いように思います。歯周病はこのように全身の疾患とも関連し、比較的若い年齢層から始まり、ほぼすべての方がかかる疾患であります。いつでも相談できるかかりつけの先生をお持ちになられ、定期的にチェックされることをお勧めいたします。
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