医療の広場
施設の検索 医療の最前線 求人情報 救急診療施設 施設の皆様へ
TeNY テレビ新潟
HOME お問い合せ 規約  
2004年8月下号
Vol.26 熱中症
鈴木 紀夫 先生

先生写真
 
今回の内容がムービーでご覧いただけます
Media Player
ADSL利用者
ISDN利用者
 
鈴木内科小児科医院
新潟市関屋本村町1-147
院長 鈴木 紀夫
■プロフィール
昭和51年3月 県立新潟高等学校卒業
昭和57年3月 杏林大学医学部卒業
昭和57年5月 杏林大学医学部小児科学教室入局
昭和59年6月 新潟県立十日町病院小児科
昭和61年4月 新潟大学医学部第二内科学教室入局
昭和61年7月 済生会三条病院内科
昭和62年7月 新潟大学医学部第二内科
平成 2年7月 新潟県立加茂病院内科
平成 3年1月 両津市民病院内科部長
平成 4年3月 「深在性真菌感染症の血清学的診断法の検討」にて医学博士号取得
平成 4年7月 信楽園病院内科
平成 5年7月 鈴木内科小児科医院副院長
平成10年5月 鈴木内科小児科医院院長
現在に至る  
   

熱中症とは?
 
熱中症とは、体の中と外の「あつさ」によって引き起こされる、様々な体の異常の総称であり、専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱をつくるような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」とされています。
熱中症は従来、以下の3つの病態に分類されています。
【熱痙攣】(ねつけいれん)
熱痙攣とは、高温環境下で短時間に多量の発汗をし、水分のみを補給し、塩分を摂取しない場合に起こります。医学的には、低ナトリウム血症が本態であり、進行すると、筋肉内疲労物質が増加し、四肢の有痛性の痙攣や、平滑筋も痙攣するので、腹痛や嘔吐もみられます。全身に痙攣をきたす事はなく、体温上昇は40度以下の事が多い。
【熱疲労】(ねつひろう)
熱疲労は、一般に日射病と呼ばれているもので、高温多湿下では、熱放散のために皮膚血管は拡張し、相対的な循環血液量が減少している。そこに発汗による脱水が加わり、絶対的循環血液減量性ショックへ移行します。主病態は脱水であり、全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などがみられ、医学的には、頻脈と血圧の低下が主症状です。この場合も、体温の上昇は40度以下の事が多い。
【熱射病】(ねっしゃびょう)
熱射病は熱中症のうちで最も重篤なもので、熱産生が熱放散を上回って体温が上昇し、うつ熱状態により体温中枢が障害され、発汗が停止し、さらに過高熱となったものです。意識障害がみられ、立ち上がれなかったり、返答できなかったりします。体温も高温であり、40度以上となります。体温が41度を超えると細胞障害がはじまり、43度を超えると多臓器不全におちいり、多くは死亡します。
  ▲TOPへ
 
応急手当
 
 
熱中症は、迅速な医療処置が必要です。しかし、現場での応急処置も、とても大切です。発症から20分以内に体温を下げることができれば、確実に救命できるともいわれています。熱中症の手当の基本は、休息、冷却、水分補給です。すなわち、まず安静の保てる所に運び、衣服をゆるめ、必要に応じて脱がせ、体を冷却しやすい状態とします。その際、足を高くして寝かせます。熱射病の場合、水をかけたり、アイスノンで冷やしたりします。意識がはっきりしている場合スポーツドリンクなどで、水分の補給をします。意識のない場合は、気道の確保、呼吸の確認、脈拍の確認を行い、適切な救急処置を行います。意識のない時はとにかく救急車を呼んで下さい。
  ▲TOPへ
 
熱中症の予防
 
 
<1> 環境条件に応じて運動する。
学校管理下における熱中症の死亡事例の検討では、部活動では屋外で行うスポーツに多く発生していますが、屋内の防具や厚手の衣服を着用しているスポーツでも多く発生しています。野球、ラグビー、サッカー、剣道、柔道など。学校行事では、登山、マラソンなどで多く見られます。学年、性別では、高校1〜2年生の男子に多く発生しています。月別では、梅雨明けの急に気温が上がる頃に発生しています。7月中旬から8月いっぱいで全体の88%が発生しています。従って、暑い季節の運動はなるべく涼しい時間帯に行い、運動が長時間にわたる場合には、こまめに休憩をとりましょう。
<2> こまめに水分を補給する。
水分を補給しないと脱水状態となり、体温調節や運動能力が低下します。汗には塩分も含まれているので、0.2%程度の食塩水を補給します。市販のスポーツドリンクOKです。但し、アルコール類、炭酸水は不可です。補給する量は、汗をかいて失われた分を補給するのが望ましい形です。汗のかき方には個人差があるので、運動前後に体重を計って、水分補給の目安としましょう。
<3> 暑さに慣らす
熱中症の事故は、梅雨明けなどの急に暑くなり、体が暑さに慣れていないときに多く発生する傾向にあります。徐除にならしていきましょう。試験休みや病気の後など、しばらく運動していなかったとき、合宿の初日など、急に激しい運動をする時は要注意です。
<4> できるだけ薄着にし、直射日光は帽子で避ける。
暑い時は軽装にして、素材も吸湿性や通気性のよいものを選びます。屋外で直射日光に当たる場所は帽子を着用しましょう。防具をつけるスポーツは、休憩中に防具や衣服を緩め、できるだけ熱を逃がしましょう。
<5> 肥満など暑さに弱い人は特に注意する。
肥満傾向の人、体力の低い人、暑さになれていない人、熱中症を起こした事がある人などは暑さに弱いので、運動を軽くするなどの配慮をしましょう。疲労、発熱、下痢など体調不良のときは、無理に運動をしない、させないことです。

  ▲TOPへ
 
疑問&質問コーナー
 
  
Q.日射病と熱中症の違いは何ですか?
A. 日射病は、熱中症の病態であり、適切な処置により回復可能ですが、処置をあやまると危険です。判断できない場合は、早く医療機関に搬送しましょう。
Q.熱中症にかかりやすい条件はありますか?
A. 今まで述べてきたように、高温多湿での長時間のスポーツをし、適切な水分補給がなされない場合、だれにでも起こりえます。
Q.ビールなどのアルコール類でも水分補給になりますか?
A. 先程も述べました通り、アルコール類は、水分補給としては禁止です。なぜなら、アルコール類は浸透圧の関係で、余計、脱水を助長してしまうからです。だから、暑い日にビールを飲みながら、海で泳ぐ行為はとても危険です。
  ▲TOPへ
 
患者さんへのメッセージ
 
 
以上のように、暑い季節に多い熱中症ですが、十分、予防できる病気です。予防法をみなさんに知っていただき、熱中症による死亡事故がなくなれば幸です。
  ▲TOPへ
     
 
Copyright (c)2004 Medica Staff Promotion All Rights Reserved.