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2005年9月号
Vol.39 うつ病
高橋 邦明 先生

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心療内科・神経科 高橋クリニック
新潟市五十嵐東1丁目10番19号
院長 高橋 邦明
■プロフィール
昭和60年  新潟大学医学部卒業
新潟大学医学部精神科入局
県内各地の病院で研鑽を重ねた後
平成10年 新潟大学医学部精神科助手
平成11年 健康日本21休養・こころの健康づくり分科会委員(厚生省)
平成14年 新潟県立小出病院精神神経科部長
平成16年 新潟県立小出病院診療部長
平成16年 日豪保健福祉協力自殺予防セミナー委員(厚生労働省)、(オーストラリア)
平成17年 心療内科・神経科 高橋クリニック院長

■賞与
平成9年 第19回国際自殺予防学会にてOutstanding Paper賞
(オーストラリア)
平成10年 新潟精神医学賞

■著書など
平成14年 「今日の治療指針2002」“自殺の予防”
「自殺問題Q&A」(現代のエスプリ別冊)“老人自殺”
「臓器移植」“わが国の臓器移植に伴う精神医学的問題”精神科治療学
平成15年 厚生労働省老人保健健康増進等事業 高齢者自殺予防パンフレット
「死なないでよかった」
平成15年 「高齢者自殺予防マニュアル」第10章 高齢者自殺予防活動の事例(1)−新潟県松之山町における取り組みー、大山博編者
平成16年 「こころの科学」118号“地域における高齢者への自殺予防活動”

■その他
平成17年 FM-NIIGATA『Radio Mental Clinic』
   

はじめに
 
 皆さんは検査で異常がないのにこんな症状はありませんか?
 体がだるい、すぐに疲れる、頭がはっきりしない、肩こりや頭が重い感じがする、喉が詰まった感じがする、お腹がすかない、食べてもおいしくない、テレビが面白くない、仕事にミスが多くテキパキこなせない、朝早く目がさめてしまう、気持ちが沈むなど。
 このような不調のいくつかが続くようでしたら「うつ病」の可能性があり、治療が必要かもしれません。
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うつ病とはどのような病気なのでしょうか?
 
 心が疲れて、心のエネルギーが著しく減少したために、憂うつで気力が出ない状態が2週間以上続く場合を「うつ状態」といいます。心理的原因ばかりでなく、身体疾患が原因でもうつ状態になります。うつ状態が表れる病気をうつ病といいます。
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うつ病の主な症状
 
 うつ病には精神症状と身体症状の両方が現れます。
「精神症状」としては、気分が落ち込む、憂うつになる、不安や焦燥を感じるなどの気分の症状と、気力低下、興味や喜びの喪失、活動性低下などの意欲の症状、さらに、悲観的になる、自分を過小評価する、自分を責める、注意・集中力が低下する、判断力が低下する、物事が決められないなどの、思考の症状が現れます。
「身体症状」としては、睡眠障害、食欲低下、性欲低下や、様々な自律神経症状を呈します。自律神経症状というのは頭痛、めまい、しびれ、肩こり、動悸、発汗、便秘などです。特に中高年の方は自律神経症状が精神症状より強く現れて、精神症状を目立たなくしてしまうことがありますので注意を要します。
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なぜうつ病になるのでしょうか?
 
 背景には、几帳面、完全主義、ノーといえない、他人の評価を気にしすぎるなどの性格傾向があることが多いといわれます。他にも様々なことがきっかけとなる場合があります。例を挙げれば、心の中で何かを失った――いわゆる「喪失体験」や、何かをやり遂げた時の達成感の後に生じる空虚感から発症することがあります。そして家族や職場などの環境の要因がきっかけになることもあります。
 また「心理的ストレス」ばかりでなく、身体疾患にかかってしまった場合などでは、その疾患の症状自体の「身体的」な原因からもうつ病になることがあります。
 その時、脳の中では、神経と神経のつながる「シナプス」という部分でセロトニンとかノルアドレナリンといった「神経伝達物質」が足りなくなり、情報が神経から神経へ上手く伝わらなくなっています。抗うつ剤はこのシナプスに効いて、神経間の情報の伝達をスムーズにするのです(図1)。

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うつ病の主な治療法
 
 うつ病の治療に最も大切なのは「休養」です。使いすぎた心のエネルギーを休養で十分に貯めてあげることが必要です。休養というと横になって寝ているイメージがありますが、それはあくまでも「身体」を休めるということでしかありません。そうではなく、うつ病の治療はこころを休めることが大事なのです。
 具体的には「やりたくないことはなるべくしない」ことです。やりたくないことをするほど心のエネルギーを使うことはありません。
 また抗うつ剤や抗不安剤、適度の睡眠薬などを採り入れた「薬物治療」も治療の大きな柱の一つです。うつ病の症状が重くなると、「自殺したい・・・」などという気持ちになってしまうことがありますが、そういう場合は一時的に入院治療したほうが良いでしょう。
 うつ病は必ず治る病気です。良くなれば死にたいという気持ちもすっかり消えてしまいます。まずはきちんと医療機関を受診して、薬物治療に関しても医師とよく相談することが大切です。
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症状が良くなるまでの期間
 
 薬の治療の効果が出はじめるのに最低2週間ほど、自覚的に良くなってきたなと感じるのには4週間から6週間ほどかかります。順調に回復すれば3ヶ月程度で寛解しますが、6ヶ月から1年ほどかかる場合もあります。しかし、必ず快方に向かいますので、焦らずに治療を続けることが大事です。
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周りの人たちはどのように対応したらよいのでしょうか?
 
 うつ病の治療には周りの人たちの支えが必要です。どうか周囲の方々は『うつ病は必ず治る』と信じて、本人が安心して楽々と休めるような環境を作ってあげて下さい。
 本人は決して怠けているわけではありません。実は「がんばろう!」と励ますことや、無理に外出や運動を勧めるのもかえって本人を追い詰めてしまう場合があります。本人は心のエネルギーが減ってしまっているために、『動きたくても動けない』『頑張りたくても頑張れない』状態になっており、そんな自分を情けなく感じてしまっていることが多いからです。
 ぜひ周囲の方々は「今は休んでいいんだよ、休めば必ず良くなるよ。」と言ってあげて下さい。
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終わりに
 
 うつ病は適切な治療を受ければ必ず良くなる病気です。「うつ病かな?」と思ったら、医療機関に受診して治療を受けることをお勧めします。きちんと治療して本来の自分の力を取り戻しましょう。
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